安全に山に登るためには?

雪山の安全のためにもう一度
一年間にわたり、「安全に山に登るためには」というテーマで当コラムに文章を書かせていただいたが、最終回となる今回、これまで書いてきた大事な点を、特に雪山にまとをしぼっておさらいしようと思う。1.行き先選びを間違えぬこと自分の実力に見合…

私が行くのをやめるとき~雪崩に対する私的注意ポイント~
初めて雪崩に流されたのは、6年間も在学していた大学をようやく卒業しようという3月、剱岳でのことだった。“卒業山行”には気合の入った登山がしたいと思い、仲間2人と鹿島槍ヶ岳天狗尾根から入山し、黒部川十字峡を渡って剱岳を目指す山行を計画…

ヘッドランプ、過信すべからず~夜間行動のリスクを再認識しよう~
10月も下旬となり、折にふれ日の短さを実感するようになった。今月は三ツ峠からの下山時に、すでに2度、ライトをつけて下っている。ヘッドランプは登山において常にマスト(必携)な装備のひとつだが、これからの季節、その重要性はいっそ…

秋〜気象遭難の季節〜
秋の高山はいつでも冬山へと変わるおそらくほとんどの登山者の方々が感じているように、今年の9月の天気の悪さは異常だった。いや、正確に言えば9月だけでなく8月半ばからずっと悪く、そして10月に入ってもまだ悪い。もはや秋の長雨…

レインウエア、漫然と着ていませんか? 〜濡れないこと、濡らさないこと その2〜
前回のザックの防水の話に続いて、今月は自分の防水、すなわち雨の中歩いていかに濡れないようにするか、という話をしたい。▼ 前回の記事ザックの防水、私の流儀 〜濡れないこと、濡らさないこと その1〜自分が濡れないため…

ザックの防水、私の流儀 〜濡れないこと、濡らさないこと その1〜
多くの登山者から山の必携品だと思われているけれど、実は必携ではないのだよ、という装備がいくつかある。例えばザックカバー。雨の日の防水対策と言えばいの一番にザックカバーを挙げる人が多いかもしれないが、私に言わせると、「…

安全に山に登るためには?(6)~道に迷ったときにすべきこと、してはいけないこと~
山で道に迷ったり、道を間違えた経験は少なからずあるけれど、30代前半の頃、富士山の下山時に道を誤ったときのことはとても印象深く覚えている。積雪期ではなく無雪期で、ルートは御殿場口。私一人で登っていた。当時私はヒマラヤ…

安全に山に登るためには?(5)~道迷いをしないために~
事前の準備は何をする?転倒・滑落とならび、遭難原因の中で常に大きなパーセンテージを占めるものに道迷いがある。道迷い遭難にまで至らなくても、道に迷った経験、道を間違えた経験、現在位置がわからなくなった経験等々は、長く登山をしている…

安全に山に登るためには?(4)~遭難を減らす簡単な方法~
当サイトで登山の安全について文章を書かせてもらっていて言うのもなんなのだが、山の事故を減らすのは本当に難しいとつくづく思う。なにしろ登山における危険因子は多岐に渡るし、山の自然は千変万化、登山者の力量だって十人十色だ。…

安全に山に登るためには?(3)~登山者は天気とともに生きる~
農業や漁業に携わる人々がおそらくそうであるように、山岳ガイドもまた天気とともに生きている。常に次の週末の、次の山行時の天気や積雪状態を気にかけながら暮らしている。大学山岳部の学生時代、山に入っていて午後4時になると、ラジオの…