天上山頂から太平洋を望む

「ふるさとの山々 高きが故に貴からず」(24)東京「島の山旅」(上)【共同通信社提供】


天上山(てんじょうさん)(東京・神津島村(こうづしまむら)=572メートル)

 

◎洋上のアルプス庭園  花の山、富士山の眺望も

島の山へは船で向かいたい。潮の香りを胸に、山に臨む。

船旅が普段とひと味違う山旅にいざなってくれる。

この山は、伊豆七島の神津島にある。

東京の竹芝客船ターミナルから、ジェット船なら4時間足らずの船旅だ。

登山口まで、宿泊先に頼めば車で送ってもらえるという。

神津島多幸湾から望む天上山

登山ルートは二つ。

今回は黒島(くろしま)コースを登り、白島(しろしま)コースを下りた。

神津島・天上山のルート

双方の登り口にはつえが備えられている。

標高200メートル弱の地点から始まる黒島コースの登山口にはトイレがあるので、用を足してスタートしよう。

文字通りの急登である。

低木の中をジグザグにぐんぐん高度を稼ぐ。

厳しい登りだが、道はよく整備され、標高差で約30メートルごとに「1合目」「2合目」などの標識があるから、いい目安になるだろう。

登るにつれ、足元には集落、太平洋、空港が広がり、海風が優しくほおをなでる。

1時間もかからずに、10合目で山上台地に飛び出す。

ここからは山の楽園散歩だ。

火口湖の千代池(せんだいいけ)は水が干上がっていたが、池から樹林帯を20分ほど進むと道は砂礫(されき)地に入り、表砂漠、裏砂漠へ。

灰白色の岩峰が周りを囲い、白砂の砂漠とツツジやツゲなどの緑のカーペットがコントラストを描く。

緑の中に、淡いピンクから燃えるオレンジまでオオシマツツジの群落がアクセントを加える。

アルプスと錯覚するような天上山の山上台地の岩峰とオオシマツツジ

標高500メートルほどの島の山なのに、まるで日本アルプスの天上庭園をさまよっているかのような錯覚を覚える。

庭園の先に広がるのは太平洋だ。

同行してもらった神津島観光協会登録ガイドの前田正代(まえだ・まさしろ)さんによれば、5~6月のオオシマツツジの後はハコネコメツツジ、夏は伊豆諸島固有種のサクユリ、秋はキキョウやリンドウなどが咲くという。

天上山に夏咲くサクユリ

秋から冬には富士山から雪の南アルプスまで望めるそうだ。

まさに黒潮に浮かぶ花の山、展望の山である。

裏砂漠展望地で噴煙上がる三宅島を望み、天空の丘で伊豆諸島北部の島々を眺める。

大トリは天上山頂上。

海と島と山、360度遮るもののない展望を楽しもう。

天上山頂から太平洋を望む

ここから左側、不入ガ沢(はいらないがさわ)の崩落地に気をつけ、白島コースを下る。集落まで1時間もかからない。

(共同通信編集委員 小沢剛)

 

【ガイドの目】

◎砂漠は霧に注意

白島コースは6合目に車道が来ている。ただ、この道は島の北部を大きく迂回(うかい)しているので、帰路、車道に入ると時間をロスする。6合目より下はロープが張られた箇所が続く。注意したい。

山上台地は道が交錯している。岩に黄色いペンキでルートが示されているが、表砂漠、裏砂漠は霧に巻かれた際には注意深く歩こう。トイレは黒島口、白島口と山上の不動池にある。

海の味覚に恵まれ、温泉もある。つりや海水浴などファミリーで楽しめるだろう。

▽参考タイム

黒島口(50分)黒島10合目(30分)表砂漠(10分)裏砂漠(20分)不動池(5分)天空の丘(10分)天上山(50分)前浜集落

提供:共同通信社

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