山での服装について、いま一度、強調しておきたい。
雨によるぬれだけではなく、運動により汗をかくことが、体の表面をぬらす。
暑い時はなんでもないが、ぬれたまま冷えると、体温そのものを奪ってしまう。
風は、さらにその冷えを増加させる。
多様な要因が関わるが、一般的には風速1メートル増すごとに体感温度は1度下るといわれる。
最近のアウトドア用の下着や衣類は、汗を外側に出し、肌をできるだけ乾燥状態にする作用を持つものが多い。
ドライ・レイヤーとも呼ばれるこれらの衣類は、体温維持に優れている。
防水とは、体の外からと内からの双方あることを、よく知っておこう。
防風、防水、防寒を、着用するウエアによって調節することが、子どもたちや体力のない人を自然界で守るのに、とても重要だ。
著者:日本山岳ガイド協会理事長 磯野剛太