釜を持った小滝

那須阿武隈川・白水沢〜沢登り紀行(6)〜


阿武隈川は福島県を南から北に流れ宮城県に至ります。

その上流である白水沢は栃木県境にあって、東北の沢でありながら関東から近く流程も短いので日帰りが出来ます。

残雪が消え、刺す虫が飛ばず、植物(藪)が成長の勢いを潜める9月から10月に行くのが良いでしょう。

樹の葉が紅や黄色に色づくおまけがついてくるかも知れません。

9月は台風や秋雨による増水、10月は急激な気温低下に気をつけて下さい。

【アプローチ】

新白河駅高原口から新甲子(那須甲子高原ホテル)行バス(発車時刻 8:00,12:40,15:50,17:40)に乗り終点で下車、そこから甲子温泉大黒屋まで舗装路を40分歩きます。

大黒屋に泊まればその送迎バスが利用出来ます。

大黒屋手前の無料駐車場で身支度を整えます。

甲子山の登山道は阿武隈川を右に見ながら温泉建物群の間を通ります。

大きな堰堤の所で阿武隈川の左岸に渡り、登山道を左に分け白水の滝を展望する道に進みます。

その道の末端(白水の滝の手前)で入渓します。

振り返ればまだ温泉施設が見えると思えるぐらいの位置です。

【遡行】

白水滝を正面に見ながら、沢の右岸の壁を沢床まで下りず、トラバースぎみに踏み跡をたどって同滝を左から超えます。

手がかり足がかり共にたくさんありますが、浮き石もあるので確かめながら行動して下さい。

バランスの悪いメンバーがいる場合はロープを出した方が無難です。

ここが最難所と考えて下さい。

白水の滝のすぐ上に堰堤があるので、左の踏み跡をたどって超えて沢床に降り立ちます。

堰堤を超えると白水沢の景色が一変します。

釜を持った小滝

東北の森と沢は、一万年続いた日本の縄文時代の生活と文化をその豊かな恵みで支えて来ました。

その森と沢が現在も維持されているという世界に類を見ない素敵さが目の前に広がり、「ワー!」と声が出てしまいます。

沢登りの経験を積む内になぜか生まれる東北の沢への「あこがれ」は関西の谷やアルプスの沢へのそれと何か違います。

もしかしたら、受け継いでいる縄文の遺伝子に起因するのかも知れません。

白い沢床です。

白い岩と青い水のコントラスト

阿武隈山地は白い花崗岩が多いですが白水沢の沢床は花崗岩でなく白い火山灰による凝灰岩のようです。

深い釜の中の水は薄い青、両岸は広葉樹の森です。

初めのY字滝8mは左の階段状を登ります。

水量が多ければさらに左にある踏み跡を使って巻きます。

F2のY字の滝、左に巻道有

次の10m滝も左から簡単に超えられます。

F3の10mの滝、左に巻道有

膝下まで水流に入りながら行くと90分ほどで二俣に出ます。

最近は左俣の方が水量が少ないです。

磁石で甲子山の向かう方向か確かめて左俣に進みます。

二股から上の沢床、簡単だが水量の多い沢なので増水時は注意

沢床を水が滑るように流れます(ナメといいます)。

入白水沢の沢床を形成する白色凝灰岩。

白い沢床の上に深い所では20cmぐらいで、一般のナメ沢(本稿の5月号で記しマスキ嵐等)より多めの水量と思われます

ナメでも豊かに水流がある

40分ほどで、次に奥二俣になります。

左沢の方が早く登山道に出ることが出来ます。

入口に滝があり、最近はこの滝を超えて左沢を行くパーティの方が多いです。

奥の二俣左沢入口の滝、最近はこの滝を超えて左沢を行くパーティの方が多い。

でも、今回は右沢を行きます。

すぐに4段30mの滝です。

1段目の15mは右から登ります。

手掛かりが小さいです。2段目から4段目は階段状で簡単です。

二俣右沢の滝、下段15mは右を登る

小滝を超えると、3段30mの滝です、簡単ですが高さがあるのでロープを出した方が無難かも知れません。

沢床の水が枯れてもなるべく沢床を追いながら進みましょう。

最近は奥の二俣を左沢に行き右沢に来るパーティが少ないです。

なので、藪の笹が少し濃くなっていますが、30分ほどがんばって藪を漕いでいると甲子峠から甲子山に向かう登山道に出ます。

【下山ルート】

甲子峠から甲子温泉に向かう登山道を90分で甲子温泉に戻ります。

甲子温泉は秘湯、温泉好きの方はパス出来ないでしょう。

汗を流すだけなら、さらに40分歩いて新甲子温泉で入浴すれば再度汗をかかなくて済みます(マイカーで来ている方はこのかぎりではありません)。

著者:松浦寿治

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