北穂1

幕営風話


2016年、新たな山岳シーンが始まろうとしている。
8月11日を祝日とする「山の日」が施行され、登山や自然探訪を通じ、多彩な山野を国民的な行楽のフィールドとしてクローズアップしようというものだ。
多くの老若男女が山や自然を縦横無尽に闊歩するようになった。山岳では一般ルートの登山だけではなく、よりラディカルなバリエーションルートやアルパインクライミング、沢登り、積雪期登山、アイスクライミングなど、専門的な技術や装備を要する登攀(とうはん)を楽しもうとするチャレンジャーが増えたりもしている。多様なスタイルを楽しむことに異論はない。大いにトライしてもらいたいとも思う。しかし、それは可能な限りの安全対策や準備を施したものではなくてはならない。
最近、山の怪談をよく目にするようになった。
山の亡者が出てくるような話であれば興味も湧くが、生身の人間が作り出した酔狂にもならない奇怪な記述であったりすると厄介である。
その主はごく一般的な登山者の発信物の中に潜んでいたりするが、そもそも当の本人が自ら怪談を放っている自覚がないところが悩ましくもある。
個人の主観的な山行体験や行動形態を自慢する自己顕示欲モンスター、勝手にルート開拓しようとするなんちゃってバリエーショニストなど、他の人がそれを怪談と思わずに情報として捉えてしまうと危険な一面が見えてくる。

 

あたかも楽観的に紹介された案内が、異なった状況下や個人レベルによっては困難な山行にも成り得る落とし穴が潜んでいるからである。
巷に情報が多く散在するようになるとその内容は玉石混交になる。
玉となる有益な情報であれば歓迎だが、濡れて滑りやすい石のごとく、踏んだとたんにスリップでもして転げ落ちてしまうような情報だと、とんでもない災難に巡り合うことにもなりかねない。
登山情報は安全性と密に係わる要素が多くあるので、目に留まった情報が自分にとって玉か石かを見極めることも必要になるというわけである。
とは言え、登山はそもそも楽しくあるべきである。

コンパスマガジンのコンセプトは、山岳ガイドや山岳関係者が発信する信頼於ける情報をベースに、安全に安心して登山を楽しんでもらうための玉となる情報を発信していくものである。
日本が誇る美しい山嶺や自然を満喫するために。

 

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