ふるさとの山は、たとえ低山であっても、山そのものの環境が、垂直・水平分布により異なることを理解しよう。
垂直でいえば、山麓はうららかな春であっても、頂上は冬のままということは、標高差が500~1000メートルあれば当然あり得ることだ。
山麓は紅葉の時期でも、山頂は新雪に覆われるという場合も少なくない。
垂直分布が、山の楽しみを増してくれる一方で、この異なりを理解しないと、致命的な危険に遭遇することがある。
温度変化に対する防御は、同じ季節の同じ山であっても、標高による環境の異なりを理解し、衣服等の選択が全く違うものになることを覚えよう。
最も体感温度が低くなる場面を想定して準備することが大事だ。
水平については次回に触れる。
著者:日本山岳ガイド協会理事長 磯野剛太