垂直分布と水平分布は単に動植物の生態や植生の違いが分かるだけではない。
話題になる桜前線や各地の紅葉も、垂直と水平にその色分けができるのだ。
山の楽しみで言えば、同じ桜や紅葉でも異なる場所や標高で、時期を違えて楽しめるわけで、山菜やキノコの収穫も同じだ。
これらの分布を理解して、ふるさとの山々を訪れてみよう。
きっと楽しみは倍加するに違いない。
花、植物、鳥、新緑、紅葉、山菜採り、キノコ狩り、雪など季節の潤いは、日本の山々こその財産だ。
日本百名山の頂を目指すこともよいが、ふるさとの山々で四季折々の変化を楽しむことをお勧めしたい。
垂直と水平を知ることは、山での安全にもつながっていく。
著者:日本山岳ガイド協会理事長 磯野剛太