「ふるさとの山々 高きが故に貴からず」(36)岐阜【共同通信社提供】


位山(くらいやま)(岐阜・高山市=1529メートル)

◎飛騨山脈、心躍る大展望  伝説の山、飛騨の三名山

東の船山(ふなやま)、西の川上岳(かおれだけ)とともに飛騨の三名山とも三霊山とも言われている。

中でも位山は巨石群が多いことから石神信仰が生まれ、山頂の天の岩戸(あまのいわと)伝説とともに天孫降臨の山として古くから飛騨の人々にあがめられてきた。

登山口は県道98号線の分水嶺(れい)の峠にある道の駅「モンデウス飛騨位山」である。

岐阜・位山登山コース

ここまではマイカーかJR高山駅からタクシー利用となる。

スキー場の北側に登山口の標識があり、牧草地を登っていく。

祭壇岩(さいだんいわ)に来ると道はジクザクとなり、次第に高度を上げる。

標高差約250メートルを一気に登りきるとスキー場トップの広場。

眼前に飛騨山脈の大パノラマが広がる。

スキー場上部から望む飛騨山脈の3千㍍級の山々

南に御嶽山(おんたけさん)、正面には乗鞍岳(のりくらだけ)が迫ってくる。

北に向かって槍(やり)・穂高(ほたか)、笠ケ岳(かさがたけ)そして黒部五郎岳(くろべごろうだけ)、薬師岳(やくしだけ)、さらに北には立山(たてやま)、剣岳(つるぎだけ)までも望むことができる。

わが国には3千メートルを超す山が21座あるが、そのうち飛騨山脈にある11座のすべてが望まれるのはここしかないであろう。心躍る大展望を楽しみたい。大きな写真盤が設置してあるので、

それぞれの山の名前を確認するとよいだろう。

ここからはいよいよ木立の中の山道に入っていく。

太奈山(だなやま)と呼ばれる1233メートルの三角点を過ぎてクリやブナの巨木が多い林を抜けるとヒノキの造林地になり、小さな馬頭観音の祠(ほこら)がある。

この辺りより尾根の左側を巻くように道は続く。

途中には巨石が点在しそれぞれ名前が書かれている。やがて広い尾根に出てオオシラビソが目立つようになると天の岩戸に出る。

位山の山頂近くにある天の岩戸

ここは天照大神が最後に造ったとされる都「高天ケ原」であるとの伝説がある。

ダナ平林道終点からの巨石群登山道がここで合流する。

ここから湿地を抜けると天の泉(あまのいずみ)への道を分け、右に進みサラサドウダンが生い茂る林をくぐり抜けると庭園のような位山山頂に着く。

眺望はないが樹間からわずかに白山が望まれる。

頂上から西へ続く道は川上岳への天空遊歩道である。南へ数分下ると天の泉がこんこんと湧き出ている。

のどを潤したら北へ進むと公衆トイレがある。

本道と合流し、来た道を戻る。

(飛騨山岳ガイド協会 島田靖)

 

【ガイドの目】
◎由来は朝廷の笏

山頂部のサラサドウダンの開花は6月中旬、秋の紅葉は10月下旬からである。北側のダナ平林道(未舗装)終点から巨石群登山道を登ると約1時間で山頂に達する最短コースがあるが、こちらは眺望には恵まれない。

山名の由来は、古来朝廷へ束帯着用時の笏(しゃく)の木として、位山のイチイを献上してきた。朝廷はこの木に一位の位を贈り、以後位山と呼んだと伝えられる。

麓の飛騨一宮水無神社(ひだいちのみやみなしじんじゃ)には、左甚五郎作と伝えられる木馬がある。大幢寺(だいどうじ)には樹齢千年を超すという国指定天然記念物「臥龍桜(がりゅうざくら)」があり、近くに臥龍の郷温泉もある。

 

▽参考タイム

登山口(40分)スキー場トップ(1時間50分)山頂(2時間)登山口

提供:共同通信社

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