琵琶湖は命の泉、私達を育んでいる大切な水源
私達が登山をする日本の山にはかならず「水源の森」というものが点在しています。
安心して生活に使える必要な「水」を供給してくれたり、大雨や台風といった災害から「生命や財産」を守る役目をしてくれています。
また私達を快適な気持ちにさせてくれたり、癒してくれるのも森林があってこそです。
林野庁ではこうした森林の役割を紹介し理解を深めるために「水源の森百選」を選定していたりします。
2000年には地方税法の一部改正により地方自治体が森林整備事業を行いその恩恵を受ける住民に費用負担を幅広く求める目的で徴収する「森林環境税」が全国で県条例により定められて16年目となって現在では全国のおおくの地方自治体で徴収されています。
税金を納めている以上は恩恵を受けるだけではなく「水源と水源の森の保護」という理解も深めていただくと尚、一層普段の登山やハイキングをする際に森の存在について「気づき」をしていただけると思います。
さて、琵琶湖(びわこ)は「われは湖(うみ)の子 さすらいの 旅にしあれば しみじみと」の琵琶湖周航の歌の歌詞がすぐに思い浮かぶイメージですね。
周辺の森林から一級河川119本が流れ込む滋賀県の面積の六分の一を占める大きな湖です。
日本で最大の面積と貯水量を持ち流れ出る水は瀬田川・宇治川・淀川と名前を変えて、大阪湾(瀬戸内海)へと流れています。
湖水は淀川流域1500万人ともいわれる住民の生命の源として上水道などとして利用されています。
琵琶湖大橋を挟んだ北側部分を北湖(太湖)、南側部分を南湖と呼んでいる湖沼水質保全特別措置法指定湖沼でラムサール条約登録湿地です。
また琵琶湖周辺地域の呼称として大きく湖南・湖東・湖北・湖西など4つの地域に分けられて自治体の名前や地名に使われたりしています。
あまり知られていませんが、河川法上は一級水系「淀川水系」に属する一級河川であり、同法上の名称は「一級河川琵琶湖」です。
これもあまり知られてなく大変驚きなのですが、琵琶湖は現在の三重県伊賀市平田に約400万年~600万年前に地殻変動によってできた構造湖でその後湖は次第に北へ移動し、現在から約100~40万年前、比良山系によって止められる形で現在の琵琶湖の位置に至ったといわれている世界でも珍しい古代湖なのです。
縄文時代や弥生時代から交通の要所として栄えたり、生態系は多様で、1,000種類を超える動・植物が生息していたりと歴史から地域の生活や文学、食文化、自然まで語りつくせないほどの魅力に満ちた湖ということはご存知の通りです。
この「琵琶湖の水源」を守るために地元の方や自治体や広範囲なNPO法人の方たちが活動をされています。
⇒「なにわの水源びわ湖を守る会」
⇒「認定法人びわこトラスト」
私達登山者に縁が深い琵琶湖の森林では、ここ10数年トチの木などの樹齢200-300年といわれる貴重な巨木が商用目的で伐採されて森に50m四方の穴があき、そこに下草が生えてさらに異常繁殖をしている鹿がそれを食べることで裸地になりそこに雨が降ることで土砂が沢に流入しています。
沢はそのまま一級河川などを通して琵琶湖に流れ込んで水質を低下させてしまっています。
「巨木と水源の郷を守る会」などではこの森林の巨木を保護することで水源の森を守り、琵琶湖の水質を守るという活動を取り組まれております。
外来生物の問題も大変大きな問題となっていますが、まずはこの「琵琶湖の水源を守る」という事を淀川水系1500万人の方達には理解を深めていただき、特に自然の中にでかける機会の多い方は「気づき」をしていただき何かしらの形でご協力をいただけると良いのかもしれません。
全国にも「水源の森」は数多くあり人造湖以外の天然水面からなる湖沼も定義が難しいのですが約187くらいあるようです。
今年は初夏まで特に関東地方の水不足が心配されましたがぜひ「おらが水源」に目を向けていただき皆さんがそれぞれの地域の水源を考えていただけるようになることが自然保護にもつながる良いことではないかと思います。
「水源の森百選」などはとても森が立派でたっぷり自然のシャワーで私達を癒してくれますのでお勧めです。
著者:土居剛