山頂の天童岩から青螺山を望む

「ふるさとの山々 高きが故に貴からず」(42)佐賀【共同通信社提供】


黒髪山(くろかみざん)(佐賀・有田町、武雄市=516メートル)

◎有田焼育んだ歴史の山  奇岩、幽谷、植物も多様

黒髪山(左)と青螺山(右)

標高こそ低いが、山頂(天童岩(てんどういわ))に立てば、その高さとは思えない高度感がある。

登山道は深山幽谷の気配の中、清らかな沢を渡り、くさりやはしごがある岩場を経るなど、変化に富んだ山だ。

複雑な地形と温暖な気候のため植物が多様で、貴重な植物が、奇岩の間にひっそりとたたずんでいる。

秀吉の朝鮮出兵により連れてこられた陶工が、山麓で白磁の陶石を発見したと伝えられ、17世紀以降、磁器の原料として採掘された。

有田焼・伊万里焼等の日本を代表する窯元が黒髪山周辺に点在するのはそのためである。登山の帰りにぜひ立ち寄りたい。

大蛇が巻き付いたと伝えられる天童岩をご神体とした黒髪神社はじめ古くから山伏が修行した霊山としても有名。

奇岩の乳待坊(ちまちぼう)や、キリシタンと村娘の悲恋物語を秘める雄岩・雌岩が神秘的な雰囲気を醸し出している。

名水百選に選ばれた清水がある竜門峡から入山する。

アクセスはマイカーで。駐車場や水洗トイレ、「黒髪の自然を守る連絡協議会」メンバーが週末に常駐する竜門山の家登山案内所があり、標識もしっかりしている。

佐賀・黒髪山登山ルート

奇岩に囲まれた沢沿いに進み、2度、3度と沢を渡る。

途中に霊場になっている洞穴や岩場がある。

見返峠に着くと雄岩・雌岩の雄大な景色が目前に迫る。

秋の雄岩(右)と雌岩(左)

どちらも岩の上には立てないが、雌岩の手前まで行ける。

峠から南へ、山頂まで標高差で約150メートルの急登を過ぎると、最後の難関の岩場に出る。

しっかりしたくさりが付いているので慎重に登れば大丈夫。

山頂手前の岩場を行く

ここを越えると山頂でもある天童岩に立つ。

眼下には山間にひしめき合う有田の街と窯元群や、蒼(あお)く透き通る「秘色の湖(ひそくのうみ)」有田ダムが見える。有明海や大村湾も。

とても標高500メートルそこそこの山とは思えない。

山頂の天童岩から青螺山を望む

奇岩の展望を楽しんだら、標高約460メートルの後黒髪(うしろくろかみ)まで西へ縦走して後ノ平(うしろのたいら)から竜門峡に下る。

途中、鬼の岩屋やくぐり岩等があり、最後まで飽きることはない。

健脚向きとしては、見返峠から青螺山(せいらさん)、牧ノ山と周遊して竜門峡に下るコースがある。

(全九州アルパインガイドクラブ 岩田達也)

 

【ガイドの目】

◎岩場から無理な下山禁物

黒髪山は標高300メートル付近に岩場が続く特異な山である。

道に迷い、無理に下山を図って岩場からの転落や岩の途中で動けなくなる遭難が多い。

山の難易度は標高では決まらない。事前に情報を集めたい。

携帯電話も谷間はつながりにくく、道に迷ったら安易に下らず、上に登ることが助かる道。

エリアが狭いので、2万5千分の1地図を拡大して使おう。

下山後の楽しみとして、窯元直売店に行ってみよう。市価の2~3割引きで買える。陶器市などでは交渉も可。

少し足を延ばせば、日本三大美肌の湯・嬉野温泉に公衆浴場シーボルトの湯がある。

▽参考タイム
竜門登山口(30分)二俣(40分)見返峠(1時間)黒髪山(30分)後黒髪(10分)後ノ平(40分)二俣(20分)竜門登山口

提供:共同通信社

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