冬の低山は、それぞれの地域にもよるが、それなりの準備があれば、ゆとりを持ち行動できる。
特に12月から1月の太平洋側の低山は、冬型の気圧配置の下では、晴天になる確率が高く、寒さは厳しくとも、風の通らない日だまりは、ほのぼのと暖かい。
枯れ葉を踏み、透き通った空気の中を歩くことは、他のシーズンにはない雰囲気を楽しむことができる。
花々こそないが、青空に映える霧氷、多くの渡り鳥たち、枯れた木立のフォルム、澄んだ山々の展望、正月からの山里の風情などがそれだ。
夕方に近くなり、深々と寒さを感じるとき、ようやくたどり着いた山麓で、温かい名物料理に舌鼓を打つのも、冬の低山歩きの冥利(みょうり)に尽きるといえる。
積極的に冬の低山に行ってみよう。
著者:日本山岳ガイド協会理事長 磯野剛太