近郊の低山ハイキングの装備で行ける沢登り気分の渓谷歩き
個性ある形をして変化に富む滝を5つも見物出来る渓谷沿いのコースです。
鎖や梯子が整備されているので、沢登りの技術が無くても大丈夫ですが、沢登り技術があり、行動判断できて信頼できるリーダーのもとで行く方が良いでしょう。
2016年夏の台風で仮設の橋が流されましたが、2017年には再度設置される予定です。
【アプローチ】
磐越東線の江田駅から徒歩15分で背戸峨廊入口です。
入口にはいわき市営の大きなトイレ付の駐車場があります。
磐越東線の運行本数が少なく、郡山やいわき近くに在住の方でないと午前中に到着するのに工夫が必要です。
東京圏在住の方ならば、東京駅6:12発の新幹線つばさ121号で郡山着7:30同発8:00磐越東線で江田着が9:18のみです。
その次は約4時間後、東京駅発9:53ひたち2号でいわき着12:07同発13:13磐越東線で江田着13:32です。
夏場は後者を利用しても良いと思われますが、秋が深まり日照時間が短くなる頃はのんびり紅葉を見ながら歩くには時間が足りません。
その頃はマイカーで行く方が無難です。
【参考】
江田発最終列車時間は19:53です。
また、江田駅前より徒歩5分の所に市営の夏井川渓谷キャンプ場(水道・トイレ有・無料)があります。
【行動】
江田駅前の磐城街道を西に向かい300m行った分岐から細い車道に入り、さらに300mの所に市営駐車場があります。
市営駐車場にある分かれ道を東へ進むと、また分岐がありますが、右へと足を運び、早めに瀬戸峨廊の水流を沿う道に降りてしまいましょう(左に行くと廻り淵をパスしてトッカケの滝に行っていまいます)。
瀬戸峨廊の水流を沿う道は、増水すると川水の中に隠れてしまうほどに流れ近くにあります。
所々コンクリートで固められている場所があり、比較的歩きやすいです。
更に30分ほど歩くと、高さ10m、水量が多いトッカケの滝が目前に迫ってきます。
観光客もここまでは見物に来ているようです。
2011年3月11日以後、私達の多くが震災波害者に対して何か出来ないかと思ってきました。
私達は人と助け合う心を本能的に持っているからです。
背戸峨廊の30km程北西は原発事故の帰宅困難区域です。
福島のこの地域を訪れ、被災者の方々の苦労を思い、物を買い、宿泊するなど、何かをする、使うという行為は、最も簡単に出来る被災地域への支援となると聞いています。
私たちが現地で消費したお金は巡るものだからだそうです。
滝を見て、ふっとサムシングを思ったら、登山者でないと行けない更なる奥へ向かって進みます。
トッカケの滝を正面から見た左側にアルミ製の梯子がかかっていて、その下に鎖が垂れています。
梯子を手放さないように確かめながらしっかり持ちます。
足は体重が足裏に真上からかかるように踏みしめて進みましょう。
怖いと思うと体が前かがみになってしまい、後ろ方向へ体重が掛かって足が滑りやすくなります。
前かがみにならないように意識して登りましょう。
トッカケの滝以降は訪ずれる人が少なくなるので踏み跡が薄くなり、所々で道がわかりにくくなりますが、要所要所に鎖、テープ、梯子などの目印があるので慎重に探しながら進みましょう。
もしルートが不明瞭になりこれ以上進めないと思ったら、わかる場所まで戻り探しなおしましょう。
それでも判断つかない場合は引き返す勇断も必要です。
沢を何度も横切るような場所には仮設の橋が架かっています。
両岸が迫っているところでは横移動しやすいように手掛かりとなる鎖が設置されています。
滝があるような場所には梯子が掛かっていたりもします。
道が整備される以前は中級程度の沢登り技術がなければ行けなかった所を、がんがん進んで行けて爽快です。
橋が落ちている場合はズボンをまくり、裸足になって渡渉して下さい。
大雨の後でもなければ膝下を濡らす程度の渡渉点は容易にみつかります。
片鞍の滝、竜門の滝、鹿の子滝と連続します。
どの滝も10mの規模でドウドウと水を落としています。水の回りはうわばみ草(食べられるとのこと)等が緑の絨毯のように群落を作っています。
迷わなければ1時間半ほどの歩きで三連の滝に到着します。三連の滝は二段目までしか見えなくて。三段目を見るには滝の右側を藪漕ぎして登らねばなりません。
通常は三連の滝を右に見ながら梯子を登り、2段目の高さの所で沢道から尾根道に上がったところで背戸峨廊は終了となります。
【下山ルート】
道に上がると畳3枚ほどの広場になり、耳に響いていた沢の音が聞こえなくなってなぜかホットします。先ずは休憩しましょう。
休憩スペースのすぐ先は別れ道になっています。左の道の方が30分早く駐車場に戻れるので、しっかり踏まれています。
左を行くと1回だけ沢幅1mほどの沢に降り立ちます。緊張感が解けていることもあり、沢の上流に向かう踏み跡に迷い込みやすいので注意してください。
下山道は、沢に降りて、その降りた地点から対岸に上がると見つかります。
【帰り列車時刻】
江田発いわき行 14:32 16:22 19:02
江田発郡山行 16:01 18:10 19:53
著者:松浦寿治