近郊の山で行う地図読み山行です。
地図読み山行で使う技術がたくさん詰め込まれたコース設定にしました。
地図に登山道の表記がない伊豆ケ岳北峰の東尾根から登ります。
頂上から1km程手前で一般登山道に合流し、高差50mの伊豆ケ岳の鎖場を通過して伊豆ケ岳山頂に至ります。
山頂からは花桐に向かう廃道でないかと思うほどの一般登山道を下り、登山開始地点に戻ります。
【導入】
「地図読み山行」では、登山道の表記がない尾根(谷の場合もある)を使いオリジナルなコースを設定します。
その尾根には道標がなくて、小ピークに手作りの山名標識がある程度です。
なので、地図と磁石とGPSを使って現在地と進行方向を確認しながら設定したルートを辿って歩くことになります。
登山の目的は「無事に頂上に至り(課題をクリアして)、無事に下山すること」と「途中で出会う経験のステキさ」です。
何度も行った日帰りの低山でも「地図読み山行」を行うことで、「経験のステキさ」を追加することが出来ます。
【アプローチ】
西武秩父線の西吾野駅から国道299号線を北に1㎞行きY字路を左の細い道に入ります。
200m行ってまたY字路になるので左の橋を渡る道に進みます。
川を左に見ながら南下し前記の橋から100mの所にあるY字路を右に行けば、花桐を経て伊豆ケ岳に向かう道となります。
道の北側に道と並行して走る尾根が伊豆ケ岳北峰東尾根です。
道の左右に駐車スペースがあります。地元に迷惑をかけたくないのでなるべく電車を使ってほしいです。
駅は橋や神社などと並んで、地図上で最も現在地の確認しやすい地点です。
【行動】
伊豆ケ岳北峰東尾根に上るのが最初の課題となります。
民家に敷地を通るのは避けたいです。
花桐に向かう道に入って50mも行かない所に植林の管理のために尾根を横切って北に向かう小道の途中から426mピークに向かう道があります。
また、花桐に向かう道の中間点にある神社の裏側から426mピークと501mピークの鞍部に向かう方法も考えられます。
神社の裏側から取り付くのは「地図読み山行」でよく使う手です。
いずれにしても道はありません。
尾根に上がれば踏み跡(道?)が見つかります。
丹沢・奥多摩・奥武蔵・中央沿線の低山にある顕著な尾根上で踏み跡のない所の方が少ないです。
ただしその尾根にはほとんど道標はありません。
所々にビニールのリボンやテープ等、先行者や山仕事の人の通過跡はありますが登山者のためのものではないと考えましょう。
598mピーク、640mピークと現在地を確認しながらほぼ西に向かって尾根を行くと、正丸からの登山道に出ます。
高速道路に出たように感じます。
登山道を行けば関東ふれあいの道となっている伊豆ケ岳から子ノ権現に向かう縦走路に導かれます。
ここまで尾根の取り付きから3時間はみておきたいです。
【鎖場の通過】
縦走路に出るとすぐに正面に高さ50mほどの岩場があって鎖場になっています。
右から鎖場を避けて登るコースもありますが、せっかくですから鎖場を登りましょう。
鎖は手に持つけれど、それを引っ張って登るのではなくて、いざという時のための補助として使いまましょう。
右足を置いたら右足の真上にお臍が来るよう体重を移動して、まっすぐ真上に立ちあがります。
次に左足を置いて左足の真上にお臍が来るように体重を移動して、まっすぐ真上に立ち上がります。
英語のレストステップ、訳して静加重静移動あるいは体重移動、あるいはバランスクライミング。
手で引かずになるべく足で登りましょう。
そういう登りは落石の可能性が少ないです。
岩場は三点確保と言う方が多いですが。体重移動していなければ意味がありません。
上に人が登っている場合は落石があることが多いので注意しましょう。
ヘルメットがあった方が無難です。そうそう、この2年間に槍穂とか剣とか南八ヶ岳など、岩稜の登山道でヘルメットを着用する人が多くなってきました。
どんなに注意しても事故に出会う可能性のあるのが登山と言えます。
良いことだと思います。
鎖場を通過して5分も歩かないうちに山頂です。
山頂付近では、平日でもたくさんの登山者が展望を楽しんだりお弁当を食べたりしてくつろいでいます。
道なき道を登って来た後のせいでしょうか、人を見ただけで安心してうれしくなります。
両手にストック、足にタイツをはいて半ズボンとかスカートで軽快そうです。
でも、我々は長ズボン着用です。
長ズボンの裾は障害物に脛を当てないセンサーの働きをします。
道のない藪の通過で足元が見えないことが多いからです。
【下山ルート】
頂上から、もと来た道を戻ります。
鎖場は一方通行なので一般には左の女坂を下ります。
でも、我々は鎖場の手前で右に、花桐に向かう登山道を行きます。
この登山道は下る人が少ないせいか入口の発見が難しいです。
なぜか道標も見えにくい所にあります。
登山道はすぐに急斜面をジグザグに沢に向かって下ります。
沢まで下りたら、その沢筋を右に左に、所々、踏み跡を見失いますが、沢沿いに歩きやすい所を行けばまた踏み跡に戻ることを繰り返します。
再び、人に会わなくなるので、コースが合っているのか不安になって来ます。
でも、木に巻いたビニールテープや石積みのケルンなど標識も至る所にあるのでそれを見るとうれしくなります。
2時間ほど下り小さな堰堤を左に見た所で舗装路に出ます。
舗装路を下って行き、尾根の取り付き地点まで戻ります。
戻る途中には廃屋が点在します。
店はありません。
洗濯物が干してあったり、駐車場に車があったりの家を見るとホットします。
途中の神社で祈るしか出来ないかも知れないですが、里の暮らしを応援したいです。