満観峰の山域で春先に咲くキスミレ

「ふるさとの山々 高きが故に貴からず」(3)静岡【共同通信社提供】


(3)静岡

◇満観峰(まんかんほう)(静岡・静岡市、焼津市=470メートル)

◎富士と駿河湾の大景観  春先には貴重なキスミレ

静岡の山は、一般的に“地味”である。しかし、満観峰のように展望が魅力で、登り方やコースによっては、初心者でも十分楽しめる山も少なくない。

茶畑に囲まれ、満観峰は見るからにのどかである。ここでは山頂へ最も簡単に行けるコースを紹介する。JR東海道線用宗(もちむね)駅で下車し、小坂(おさか)集落を目指す。

集落を過ぎてしばらく歩くと左手に駐車スペースがありトイレもある。ゆっくり歩いて1時間ほどである。車なら、ここまで入れる。

すぐ先の二股には庚申(こうしん)塔や石仏が立つ。ここを右手、萬福寺方向へ向かい、山道へと入って行く。

駐車場より約1時間半で稜線(りょうせん)に出て左手に向かえば、30分ほどで山頂に達する。

山頂には、あずまやも立ち、素晴らしい眺望である。安倍川の向こうに静岡市の市街地を見、その向こうには大きな富士山がそびえている。

また、目を転じれば、冬でも暖かに光あふれる駿河湾が広がっている。実にのどかな風景で静岡らしい。条件がよければ南アルプスも見える。

十分に展望を楽しんだら、下山は日本坂峠を経由して小坂まで約1時間半。

 静岡・満観峰、花沢山

静岡・満観峰、花沢山

静岡は、古代より東海道の要所で、この山の周辺には多くの史跡が点在している。北側の登山口である

宇津ノ谷(うつのや)地区は、伊勢物語にも登場する古道、蔦の細道が通る。ここも良いハイキングコースとして市民に親しまれている。

宇津ノ谷の集落は、近世の東海道の面影を色濃く残している。集落内には、人気のそば屋もあり立ち寄りたい。

一方、日本坂峠は神話の時代、ヤマトタケルが通ったとされる。また草薙の剣の伝説の地、焼津もほど近い。焼津には、新鮮な魚介類を提供する料理店も多い。

また下山後は、焼津黒潮温泉で汗を流して帰るのも良い。

この山域の魅力にもう一つ加えたいものがある。それは隔離分布という不思議な生息地を示す植物である。

一つは、低山に咲く唯一の黄色いスミレ「キスミレ」である。

他は「コシノコバイモ」である。希少種なので十分に配慮して見てほしい。春先に咲くこれらかれんな花を、里山で見られるのは幸せなことである。

(静岡山岳自然ガイド協会 上野真一郎

 満観峰から望む富士山と駿河湾(右)。手前は静岡市

満観峰から望む富士山と駿河湾(右)。手前は静岡市

 

【ガイドの目】

◎適期は秋から春

温暖な静岡だが、やはり冬はそれなりに冷える。小さな子供連れの際には、十分な防寒衣料(帽子、手袋、ダウンジャケットなど)をザックの中に入れて行きたい。

コース上には、特に危険な箇所はないが、全般的に植林地を歩くことが多く、風の強い日には杉やヒノキなどの枝の落下にも注意が必要である。

初心者の適期としては、10月~5月ごろとなる。夏は暑く、熱中症や虫刺されに注意が必要となる。春は、桜の頃、秋は他よりも遅い紅葉の頃が最も歩きやすい。

飲用に適した水場はない。トイレは駐車場で。

▽参考タイム 小坂駐車場(10分)萬福寺(20分)登山道入り口(1時間)稜線(りょうせん)(30分)山頂(1時間)日本坂峠(30分)駐車場。

 

提供:共同通信社

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