山頂からの南アルプス

安倍奥の名山・山伏~山並み越しに南アルプスの主稜線を見る。~


山伏(やんぶし)は標高2014メートル。

静岡市街地から最も近い2000メートルを超える山で、その展望とアクセスの良さから四季を通じて人気があります。

一番ポピュラーな西日影沢のコースをご紹介します。

梅ヶ島温泉へ向かう県道から「大谷崩れ・山伏」方面へ行き、大谷崩れへの道を右に見送りしばらく進むと登山口に駐車場があります。

5台ぐらいは停められますが、川のそばにあるため崩壊が進んでいるようで注意が必要です。

また、ここも含めてコース上にはトイレはありません。最後の公衆トイレがコンヤ温泉付近の県道沿いにありますので、そこで済ませておきましょう。

駐車場から林道を5分ほど歩いて沢を渡ったところが登山口です。

沢を右手に見ながら歩いていきます。木の階段を降りて沢に降りて木橋を渡ります。

対岸の沢にわさび田が見えます。植林帯の中を20分ほど緩やかに登って行きますと、階段状になったわさび田の跡に出ます。

わさび田を過ぎて再び木橋を渡り、しばらく行くと二つの大きな岩が出てきます。大岩という場所です。

10メートルはゆうにありそうな岩で、沢音を聞きながら休めるいい休憩ポイントです。

大岩

大岩を過ぎて、木橋を渡り沢を渡渉すると、荒れた植林の林になります。

ロープなどが設置された急な登りが出てきます。

2016年2月現在、倒木がそこで登山道におおいかぶさるようになっていましたので、ロープに頼り過ぎず、木の下をくぐる時にもあまり刺激を与えないように通過します。

ここを過ぎると林のトラバースになり、まもなく沢に出ます。

沢を渡り、しばらく行くと標高1450メートルの蓬峠です。

ここから先は雪が出てきますので、アイゼンをはきます。凍った雪の上にはブナの実がたくさん落ちています。

蓬峠

登山道沿いにはブナが多く見られます。ブナは成長が遅いため、50~60年かけて初めて実を結ぶようになり、その後も5年に一度しか結実しないそうです。

道は尾根を巻いたりしながら、徐々に高度を上げて行きます。

2015年から2016年にかけては暖冬の影響で雪が大変少ないです。登山道は所々狭い所や急な所もあるのでゆっくりとしたペースで滑落や転倒には充分注意しましょう。

1850メートルを過ぎた辺りから傾斜は緩くなり、しばらく進むと牛首峠への道が左から出てきます。

ここから山頂までは15分ほどですが、コメツガやモミなどの針葉樹に囲まれた森の中を歩いて行きます。

下には笹が生えていますが、積雪が多い時には笹は雪に埋もれ、なだらかな雪原を見ながら雪をかぶった木々の中を歩いていると、ここが静岡であるのを忘れてしまいそうになります。

スキーを担いで登り、ここで山スキーを楽しむ人もいるそうです。

森が開けてくると、鹿除けの柵が見えてきます。

柵の中に夏に咲くヤナギランの群落を目当てに多くの登山者が訪れます。鹿の被害は南アルプス一帯で深刻な状態になっています。

ここでもあちこちに鹿が木の皮をはいだ跡があります。山頂はもう少しです。

山頂は南アルプス南部の荒川、赤石、聖から光岳へ続く稜線の眺めが素晴らしいところです。

反対側は富士山が大沢崩れを見せています。天気が良ければ、のんびりと珈琲でも飲みながらいつまでも見ていたい景色が広がっています。

多くの登山者がこの景色との出会いにわくわくしながらこの山頂を目指すのです。

下山も同じルートをたどりますが、蓬峠までは特に滑落や転倒に注意が必要です。急がず、慎重に下りましょう。

これから雪がなくなったら、新緑の季節を迎えます。

ヤナギランやクガイソウの咲く夏、そして秋のブナの黄葉と季節ごとに魅力がある静かな山です。

 

著者:掛川義孝

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