「ふるさとの山々 高きが故に貴からず」(10)福岡【共同通信社提供】


宝満山(ほうまんざん)(福岡・太宰府市(だざいふし)、筑紫野市(ちくしのし)=829メートル)

 

◎歴史に彩られた史跡の山  梅の香に包まれる天満宮

歴史と伝説に彩られた山だ。7世紀に置かれた大宰府と密接な関係がある。大宰府の鬼門(北東)方向にあることから厄よけの神を祭った。
最澄(さいちょう)が参拝して遣唐使の平安を祈願したという。修験、信仰の山として発展、遺構も多く、国の史跡指定を受けている。

太宰府天満宮は、この地で亡くなった菅原道真(すがわら・みちざね)を祭る。学問の神様として名高い。国の重要文化財の本殿は、道真の墓の上に建てられている。

福岡・宝満山コース図

西鉄太宰府駅から天満宮に向かう。

早春なら、左遷された道真を慕って都より飛んできたという飛梅(とびうめ)をはじめ、6千本の梅が境内に咲き、芳しい香りに包まれる。

山麓の太宰府天満宮に咲く飛梅

社殿の裏へ回り、舗装道路を右へ、約2キロで正面登山口の竈門神社(かまどじんじゃ)に着く。

本殿の左から車道に出て、1合目の鳥居から林に入り、林道をしばらく行く。

池のそばで左に登山道が分かれる。

林道を横切って進むと林道終点に出て、ここから照葉樹林の道となり、自然石の階段となる。

すぐ上に一の鳥居、2合目標識がある。20分程石段を上ると3合目の水場に着く。

ここから杉木立の中の急坂となる。5合目を過ぎて、百段ガンギと呼ばれる切石の整然とした石段が現れる。これを上りきると坊跡が多い西院谷(にしいんたに)。

さらに10分程で7合目の竈門山碑とある石碑の中宮(ちゅうぐう)跡に出る。

平たんな道を過ぎ少し下ると、道は三つに分かれる。右はキャンプセンターへ。左は羅漢道(らかんどう)へ。真ん中が正面道である。

大きな花こう岩の岩につけられた階段を上り、竈門岩を過ぎ、袖すり岩を抜け、急な石段を上りきると山頂だ。竈門神社の上宮(じょうぐう)がまつられている。

露岩の山頂は360度の展望だ。

福岡市内から玄界灘、壱岐島、筑紫平野、そして英彦山(ひこさん)系が連なる。冬場は九重(くじゅう)連山はじめ条件次第で阿蘇山の噴煙も望めるだろう。

巨岩が織りなす山頂から東側の眺め。英彦山系や冬には九重連山を望む

下山は来た道を帰っても良いが、山頂直下にはキャンプセンターがあり、水場やバイオトイレがある。

鎖のついた石段を下り、尾根道から右へ分かれる道を下るとキャンプセンターに着く。

ここからは中宮跡へ続く、女道(おんなみち)をたどり下山する。(全九州アルパインガイドクラブ 浦一美)

 

【ガイドの目】

◎こまめに水分補給を

西鉄電車で太宰府駅まで行けるので、利便性が高く、一年を通して登山者でにぎわっている。竈門神社にはトイレがあり、出発前に使うとよい。

2合目からは樹林の中となる。階段が延々と続くため、こまめに水分の補給をしてほしい。

3合目の水場では空いた水筒に補給をすること。

正面道周辺には修験者達の活動場跡が数多く残る。1982年には峰入りなど山伏の行事が復活した。

また、江戸時代から縁結びの山として知られ、若者の登山も多い。

下山後、天満宮に寄ってみよう。参道で焼かれている「梅ヶ枝餅」は道真公を慰めたというお土産として有名である。

▽参考タイム 西鉄太宰府駅(40分)竈門神社(30分)一の鳥居(55分)中宮跡(20分)山頂(10分)キャンプセンター(20分)中宮跡(1時間)竈門神社

 

提供:共同通信社

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