「ふるさとの山々 高きが故に貴からず」(11)香川【共同通信社提供】


大麻山(おおさやま)(香川・善通寺市(ぜんつうじし)、三豊市(みとよし)=616メートル)

◎桜並木と瀬戸内海の眺望

こんぴらさんから登ろう 登山と名所巡りをセットで楽しむ。

そんな欲張りなプランを手軽に満喫できる山だ。

香川・大麻山のルート

山頂からの瀬戸内海などの景色は素晴らしく、5月の大型連休のころ、ボタン桜(八重桜)が尾根沿い1キロ以上もピンクに染める様は見事だ。

山頂付近をボタン桜が染める(善通寺市役所提供)

平野からポツンと突き出たおにぎり様と台形様の山は香川県の特徴。

その中で標高の一番高い台形様の山が大麻山で、尾根南東端の低くなったところが琴平山(ことひらやま)だ。

琴平山周辺は象頭山(ぞうずさん)とも呼ばれ、中腹には「こんぴらさん」の愛称で親しまれる金刀比羅宮が鎮座する。

台形の大麻山。右端が山頂、左側山の中腹に金刀比羅宮

JRか琴電の琴平駅で下車し、表参道の石段下まで徒歩15分。

ここから金比羅名物1368段の石段歩きが始まる。

365段上がると大門だ。

ここからが神域となり、唯一商いを許されたのは、大きな傘をさし、あめを売る「五人百姓(ごにんびゃくしょう)」だ。

桜の名所の石畳を過ぎ、石段を上がると「森の石松」が本宮(ほんぐう)と間違えて参拝したと伝わる旭社(あさひしゃ)の豪華な建物前に出る。

傾斜の強くなった石段を上り詰めると正面が金刀比羅宮の本宮だ。

参拝を済ませたら本宮右奥の鳥居をくぐり奥社(おくしゃ)へ向かおう。

うっそうと茂った照葉樹の参道はパワースポットでもあり、厳魂神社(いづたまじんじゃ)の鎮座した奥社まで続く。 大麻山へは奥社鳥居下の登山道から入る。

すぐに防火帯と標識のある分岐に出るので、左のルートを進む。ジグザク道がゆるやかになると龍王社(りゅうおうしゃ)のくぼ地に出る。池の横を登れば視界の開けた桜並木の尾根に抜ける。

電波塔目指してひと登りすれば右側に山頂を示す2等三角点がある。

さらに足を延ばすと頂上園地の展望台広場だ。

眺望は素晴らしく、眼下に讃岐平野と瀬戸内海の多島美が広がり、遠くは対岸の岡山県までが見渡せる。

頂上から讃岐平野と瀬戸内海の眺め

帰路は龍王社まで戻り、池から東斜面を下る。

急な下りが続くので慎重に歩きたい。

10分ほどで水平な工兵道(こうへいどう)と合流し、右へ折れて葵の滝(あおいのたき)を経由し、標識のあった分岐をへて参道へ戻る。

本宮手前の鳥居まで下って、左に見える車道へ入りそのまま下ると、裏参道の入り口だ。

琴平駅はもう近い。(四国山岳ガイド協会 佐藤孝雄)

 

【ガイドの目】

◎周辺にも見どころ多数

標識が完備しており登山道はわかりやすい。

冬には落葉樹の葉が山道に積もり、スリップ事故に気をつけたい。

一年を通して楽しめるが、登山適季は10月~5月。見どころは秋の裏参道の紅葉と春の桜。

山頂のボタン桜は4月下旬~5月上旬。

金刀比羅宮周辺の見どころも忘れずに立ち寄ったらいかがか。

/(1)/高灯籠(高さ日本一、27メートル)/(2)/金丸座(現存する日本最古の芝居小屋)/(3)/円山応挙の障壁画(表書院)―などだ。

▽参考タイム

琴平駅(15分)石段登り口(35分)本宮(35分)奥社(30分)龍王社(15分)山頂(5分)展望台広場(10分)龍王社(10分)工兵道(10分)奥社(15分)本宮鳥居(15分)裏参道口(10分)琴平駅(10分)
提供:共同通信社

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