南アルプス稜線の朝

黒潮が育む山と人〜屋久島・熊野古道・南アルプス〜


屋久島は1993年に世界自然遺産に、熊野古道は2004年に『紀伊山地の霊場と参詣道』として世界文化遺産に登録された。

熊野古道より熊野灘を望む

南アルプスは2014年にユネスコエコパークに登録されたことからわかるように、これらのエリアはそれぞれが世界的に見て、とてもユニーク(唯一無二)な自然や歴史を持っていると認められている。

その中に大きく貫いているものは海、もっといえば黒潮の存在だ。

黒潮は太古から人と物資を運んだ海の道であった。

黒潮は南から暖かい海水を運んで来て、海で発生した湿った空気は南風に乗って、山々にぶつかりそこに大量の降雨をもたらす。

温暖な気候と雨の多さのおかげで、コケやシダに覆われた深い森が出来る。

雨上がりや、早朝には日が昇ると共に大地からじんわりと水蒸気が立ち昇ってくる。

南アルプス稜線の朝

その水蒸気は雲となり、雨を降らし、谷から川へ注ぎ込み、やがて太平洋へと再び還って行く。

屋久島淀川の流れ

屋久島、南アルプスのトレイルは決して易しくはない。

南アルプスの登山は森林限界に出るまで深い森が続く。

小屋の数も少ないし、離れているので、縦走には体力が必要だと言われる。

屋久島の山中には管理人がいる営業小屋はない。

食事も寝袋も自分たちで持ち上げなければならない。

不便ではあるけれど、それが自然に入山者の数を抑制し、環境に与えるインパクトを減らす結果にもなる。

そんなワイルドなありのままの自然の中で、山の一日のドラマを日の出から日没まで見るために、ぜひ山中で一晩過ごしてほしい。

ガイドならそういうリクエストに応えてくれるし、あなたをしっかりサポートしてくれるはずだ。

もう一つ屋久島・熊野古道・南アルプスと、旅をしていく中でお客様には『人との出会い』を楽しんでもらいたい。

宿の人、立ち寄った商店や食堂の人、興味があったらどんどん話しかけてみよう。

みな、その地域を一番よく知っていて、自分の言葉で語ってくれるだろう。

熊野三山を巡る熊野信仰は『浄・不浄を問わず、信・不信を問わず』というあらゆる人を受け入れる熊野の神の懐の深さにより万人の熱狂的な信仰を集めた。

黒潮は、この地域にそんなおおらかさを与えたと思う。

自然は恵みだけでなく、時には豪雨や地震など人間の力をはるかに超えた災害をもたらす。

そんな荒々しい自然に向き合うとちっぽけな人間同士仲良く助け合ってやりなさいと自然が人に語り掛けているような気がする。

そんなことを出会ったお客様に少しでも伝えられたらと思いながら、歩いている。

著者:掛川義孝

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