登山概念図を頭に入れよう
多くの登山客が訪れるところは、一般的に登山道が整備され道標が設置されているはずです。
休日ともなれば大勢の登山者が楽しみながら歩いています。
この行列にただついていけば山頂に着くことも可能です。
地図なんか見たことが無いというのが本音でしょう。
しかし、登山口に掲げられる地図を描いた看板を眺めている人は多いようです。
登山口でしっかりとこれから登るコースを確かめているのでしょうか。
でも記憶に頼ってはなりません。
登山計画で大切なことは、目的の山とコースについて地形図を使って概念を把握することなのです。
山に入る前にどこから登り、どこを経て頂上に至るかを、尾根、沢、ピーク、鞍部、分岐など特徴的な地形や構造物を描いた地図を手にしましょう。
これを「概念図」と呼んでいます。
駅に備え付けのチラシの地図や書店で販売される「登山地図」などです。
看板を見ているだけではだめです。最低でもこの程度の地図は持ちましょう。
これらの地図は、精密な地形図とは違った簡単な略図です。
登山口の標高は何㍍か、傾斜が強いところ、緩やかなところなど地形を読み取るほどの細部への表現はされていないことが多いです。
最近では、スマートフォンに入っているアプリを持つこともありますが、バッテリー切れを心配するのは老婆心でしょうか。
国土地理院の地形図はマンションの間取りと思え
地図は苦手という人は、たぶん国土地理院の地形図を読み解くのが苦手という人が多いようです。
たぶんに食わず嫌いのところがありそうです。
国土地理院の地形図は、ほぼ等高線でできています。
つまり地形を図面にしたもので、それらを補足する地図記号が加わり、地形図を構成しています。
たとえば、ここに示した不動産広告のマンションの図面を見てもらえますか。
ベランダの方角、洗面所の位置、キッチンの広さ、壁とドア、玄関など説明されなくてもわかりますね。
実は、国土地理院の地形図もこれと同じです。
記号の形が少し違うだけです。
また、部屋の仕切りは等高線と思えばよいでしょう。(等高線は交わりません。)
どうです。違和感なくわかるでしょう。
地図は、図面の上方向が北と決まっています。
それ故、間取り図のベランダは、大概下にあります。
下方向が南という取り決めに従っているためです。
実際の登山では、地形図とコンパスと高度計を使い、周囲の地形を観察して、現在位置を確認します。
現在位置の確認は、重要な作業です。
今、自分がどこにいるのか。
登山に限らず社会の中での自分の存在位置は重要な事柄です。
著者:武川俊二