西丹沢・鬼石沢〜沢登り紀行(4)〜


西丹沢の大滝沢の本流は雨棚(大滝)より上流は鬼石沢と呼ばれています。

雨棚を超えるまで登山道を使い一軒屋避難小屋から入渓します。

80分の登山道歩きが長いためか、訪れる人が少なくプリミティブな渓相です。

ロープを出す滝、ボルダリング課題ある滝などがあります。

イワタバコの群落の源頭を行き畦ケ丸の山頂に飛び出す爽快で美しいルートです。

沢登りは水量が多いと難しくなりますが、本降りの雨が続いていなければ梅雨期でも易しく登れます。

【アプローチ】

新松田駅から西丹沢行のバスに乗車し大滝橋で下車します。

マイカーの場合は大滝キャンプ場の有料駐車場が利用出来ます。

大滝橋から畦ケ丸に向かう登山道を行きます。

マスキ嵐沢出合を過ぎF1雨棚70mを巻く急坂を上がって一軒屋避難小屋まで80分です。

小屋の傍で身支度を整えます。

小屋から鬼石沢の右岸につけられた踏み跡を辿り、堰堤を超えた所で入渓します。

 

【遡行】

沢に降り立って10分ほどで二俣になり左に行くと正面に10mの滝が現れます。

雨棚から数えるのでF2と呼ばれています。

滝の右ゆるい斜面をロープを出して登ります。

途中の樹木を中間支点にします。

上部は少し傾斜があり、高いので慎重に動く石を掴まないように登って下さい。

滝の上にはハーケン等の支点はありません左岸を少し登り生きた樹木にロープを巻いてビレーポイント(確保支点)にします。

初めの滝は下の雨棚から数えるのでF2 右から登ってロープを出し、後続は中央を登る。

続く5段のナメ滝は靴底をフラットに置いて歩くことでクリアして下さい。

ペタペタと歩くイメージです。ナメの上は二段20mの滝です。

滝の左から途中あるハーケンにロープをクリップして登り下段を超えます。

上の段は左右どちらからも登れますが左の灌木帯近くの登った方が無難です。

滝の上、水流を10mほど進んでの熊ぐらい大きい岩を見つけて、それにロープを巻いてビレーポイントにします。

F3の上段はこんな感じ、ロープがないと登れない?

手がかりの多い2mの小滝超えナメを歩くと石積みの堰堤10mとなります。

左の堰堤と側壁の間の斜面を登ります。

踏み締めるように足を置いて足場を確保し、浮石や枯れ木を掴まないようにして慎重に超えて下さい。

一般に沢の側壁付近は崩れやすい所なのです。

階段状の7mの滝を超えると沢の中に大きな石(鬼石その1)が挟まった2m滝になります。

鬼石1は右から巻くように歩いて超えられますが、水がゴーゴと吹くような感じで増水しているのでないならば、鬼石の左の水流の所を超えると面白いです。

ボルダリングの6級程度の難しさがあるので、クライミングジムで充分にトレーニングしている人に先に登ってもらいましょう。

2番手以後は上からロープを降ろしてもらい登りましょう。

ボルダリングジムと違って下にマットがあるわけではないので絶対に落ちてはなりません。

ロープをピンピンに張ってもらって上から吊られる状態で登って下さい。

鬼石その1、左側の水流の所がボルダー課題6級

手がかりが豊富でどこでも登れる5m滝、それから小滝2つを超えます。

鬼石1から30分ほどで、大きな石(鬼石2)が乗っている壊れた石積堰堤です。

堰堤は左から簡単に超えることが出来ますが、ちょっとストップ。

鬼石2は観光スポット、人の力のサムシングと自然の力驚異が入り混じった別次元の空間がそこにあります。

鬼石その2、別次元空間の観光スポット

鬼石2を過ぎ、簡単な6m滝を超えて、10分で奥の二俣です。

左から1で右から3の割合で水流が二俣に入って来ます。

沢登りではそれを1:3と表記します。地図と高度計で現在位置を確認しましょう。

左俣は磁北線から90度西に右俣は磁北線の方向の北に向かっていますか?

二俣を右に10分行くと三俣になります。

三俣は、一番左を行くと藪こぎなく楽に登山道に出られます。

真ん中を行くとイワタバコの大群落を見ながら畦ケ丸避難小屋の真下に出ます。

いわたばこ群落

一番右を行くと畦ケ丸と権現山を結ぶ尾根の上で出ます。

三俣から先は浮き石が多くなるのでたしかめて持つ小股にするなど、いつも以上に石を落とさないようにして進んで下さい。

【下山ルート】

畦ケ丸山頂から北東に伸びる登山道を行けば、西丹沢自然教室バス停まで2時間20分です。

山頂から南に下る登山道を行けば、一軒屋避難小屋を経て大滝橋バス停まで2時間30分です。

後者の場合一軒屋避難小屋の土間の隅にアプローチシューズを預けておける(このようにあらかじめ預けておくことデポすると言います)ので荷物を軽くすることが出来ます。

マイカーでアプローチされた場合は車の回収のため後者となることは言うまでもありません。

著者:松浦寿治

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