◇三瓶山(さんべさん)(島根・大田市=1126メートル)
◎草原に立つ優美な独立峰 島根の名山、麓に温泉も
島根県で最も有名で人気の山だ。
周囲から眺めると日本海へ向かってそびえ立ち、ブナやミズナラの自然林と麓の草原が美しい。
中国地方で大山に次ぐ人気である。
数千年前に噴火した火山で独立峰。
中央の火口原を囲む峰々がなんとも優美である。
主峰の男三瓶(おさんべ)山から時計回りに女三瓶(めさんべ)山(953メートル)、太平山(854メートル)、孫三瓶山(903メートル)、子三瓶山(961メートル)と続く。
火口原には室内池(むろのうちいけ)と国の天然記念物、三瓶山自然林がある。
付近には南の原の三瓶温泉をはじめ、いい温泉がある。
アプローチは車利用が便利。
山陰側から県道56号や30号、山陽側は浜田道大朝インターから国道261号、中国道三次インターから国道54号などで山麓に至る。
男三瓶山へは、北の原の三瓶自然館サヒメル駐車場からの姫逃池コースと青少年交流の家前からの名号コースが最も登られている。
それぞれ原生林を縫って1時間半から2時間で登れる。
この2コースを周遊するか、または男三瓶山から女三瓶山へ縦走し、北の原に下山するのも人気だ。
今回は、ファミリーにはややきつめだが、欲張って西の原から男三瓶山に登り、子三瓶山まで火口原をほぼ一周するコースを紹介する。
6時間かかるので水と行動食は十分に準備しよう。
西の原には駐車場とトイレがある。
ここからススキの草原を東に登る。
標高554メートルの分岐で子三瓶山、北の原への道と別れ、ジグザグの登りとなる。
標高800メートルあたりから麓の眺望が広がり、実に気持ちがいい。
標高千メートルを過ぎるとなだらかになり頂上へ向かう。
山頂は広く整備され、ベンチ、周囲の山の案内板がある。
避難小屋もあり荒天時には助かる。
女三瓶山に向かおう。
犬戻しと呼ばれるガレ場を通過して下っていくと子三瓶山や孫三瓶山、室内池が美しい。
兜山を過ぎ鞍部から登り返すとアンテナが林立する女三瓶山頂上だ。
歩を進め、太平山の鞍部まで下ると東の原からスキー場のリフトが来ている。
太平山から孫三瓶山を過ぎ、大きな子三瓶山を越えて下った扇谷分岐の峠から西の原に戻る。
全山を縦走した達成感とともに南の原の三瓶温泉に向かおう。
(関西山岳ガイド協会 松島宏)
【ガイドの目】
◎体力に応じルート選ぶ
三瓶山は周囲の複数のコースから登ることができる。
体力に応じてルートを選ぼう。
トラブル発生時にはそれらのコースをエスケープルートとすることも可能だ。
北の原には姫逃池のほか県立自然館サヒメルや国立青少年交流の家などの施設が集まり男三瓶山の登山口だ。
南の原には三瓶温泉があり、孫三瓶山への登り口。東の原と西の原は草原が広がる。
東の原のスキー場からは夏場もリフトを使い、最短で稜線にアプローチできる。
西の原の「定めの松」は男三瓶山と子三瓶山への登山口の目印だ。
▽参考タイム
西の原(2時間)男三瓶山(40分)女三瓶山(30分)大平山(1時間)孫三瓶山(1時間)子三瓶山(50分)西の原
提供:共同通信社