◇大嵐山(おおあらしやま)(石川・白山市=1204メートル)
◎黄葉のブナ林と白山遠望 静かな山歩き楽しめる
この山は白山の眺望に恵まれ、晩秋にはブナ林の黄葉の中、静かな山歩きが楽しめる。
ミズバショウの群落地でも知られ、恐竜や動植物の化石が多数見つかり、国の天然記念物に指定された「桑島化石壁」もあって、恐竜の里としても有名だ。
林道を使うため、マイカー利用をお勧めする。
金沢方面から白峰へ、国道157号を走り、桑島集落の桑島大橋を渡り左折。
次の標識を右折し、百合谷(びゃっこだに)林道に入る。林道は舗装されており、桑島大橋から20分ほどで標高約880メートルの駐車場に到着する。
約50台は駐車できる。案内看板、沢水を引いた水場、トイレ、あずまやがある。
この駐車場の水場横から登山が始まる。
山頂までの標高差は320メートル余り、距離は約1・3キロだ。
百合谷峠まで登山道の左右の木々には名札がつけられており、ミズナラ、ウワミズザクラ、コシアブラ、リョウブ、ホオノキ、ブナ、スギ等が見られる。
ミズナラ、ブナの黄葉の中、緩やかな上りを20分ほどで峠へ。
大嵐山へは右へ。
真っすぐ行けばミズバショウ群落地の水芭蕉園。左は展望コースだ。
峠を右折すると、道幅が狭いやせ尾根を進む。
木々の間、左前方に大嵐山、その左には遠く白山の大汝峰(おおなんじがみね)(2684メートル)が望める。
やがて、標高1017メートルの肩に出て、広々とした百合谷ブナ林になる。
若いブナの林だが、古木も交ざり、美しい場所、一息入れたい。
ブナ林を少し上ると、左下後方に手取川ダムが見える。
左手にブナの大木が現れると、山頂への最後の急登。
傾斜が緩くなり、スギが多くなると山頂だ。
大嵐山の標識もある。
三角点はなく、スギとシャクナゲで覆われ、頂上らしい広場もない。
ただ、白山の方向が切り開かれており、正面に鳴谷山、その後方に白山の峰々が一望できる。
右端に御前峰(ごぜんがみね)(2702メートル)、その左へ大汝峰、四塚山、天池などが連なる。
この山並みが尾添(おぞう)尾根で、古い白山登山道、加賀禅定道が刻まれている。
下りは百合谷峠まで戻り、展望コースへ。
美しいブナ林と緑鮮やかなヒメコマツの林が、この山を思い出深いものにするだろう。
(日本山岳ガイド協会 黒川正博)
【ガイドの目】
◎林道は積雪状況確認を
登山道は危険な箇所がないが、山頂からの下りが急なので足元に注意。体力に自信がない方は、百合谷峠から直接駐車場に下山すれば良い。
この山はミズバショウの季節にぜひ訪れたい。ゴールデンウイークが見頃だ。子ども連れなら白山恐竜パーク白峰も。
林道は積雪期通行止めになる。12月に入ったら状況を確認してほしい。
名物に固豆腐と、とちもちがある。食べてよし、お土産にもよし。
温泉は麓にホテル八鵬があり、白峰には白峰温泉総湯、白山を望む白山天望の湯がある。
▽参考タイム
駐車場(20分)百合谷峠(15分)百合谷ブナ林(40分)大嵐山(40分)百合谷峠(15分)駐車場、百合谷峠から展望コース(50分)駐車場
提供:共同通信社